つなブロ

青年海外協力隊として、ナミビアの大西洋に面した街ヘンティスベイで町づくりの手伝いをしています。協力隊活動に関すること、ナミビアでの生活に関すること、自分の住む街や訪れた街に関することなどいろんなテーマについてお伝えできればいいなと思ってます。

持続可能な開発目標(SDGs)のひとつ「安全な水とトイレを世界中に」はナミビアでも切実な問題!

こんにちは。このブログをご覧になってくださっている皆さんは、SDGsって単語をご存知でしょうか?英語で「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」と訳されるものです。これは外務省のホームページに次のように記載されています。 

 

持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGs発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。(外務省webより引用)

 

その17の目標のうちのひとつが「安全な水とトイレを世界中に」というものです。17の目標は次の通りです。

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図:国連広報センターより引用

 

世界にはまだまだたくさんの人達が安全な飲み水、トイレを使用することができずにいます。ナミビアもまたしかりで厳しい現状が存在しています。今日は水とトイレに焦点をあててナミビアの現状を皆さんにお伝えしたいと思います。

 

そもそも安全な飲み水とトイレってどういうこと?

安全な水とトイレとは、安全に管理された飲み水とトイレということです。ユニセフのホームページには次のように記載されています。

 

安全に管理された飲み水:必要な時に自宅で使用できる、汚染されていない飲み水

安全に管理された衛生施設(トイレ):人の排泄物が他と接触されないように分けられ、安全で衛生的に処理できる設備を備えているもの

ユニセフHPより引用)

 

となっています。飲み水については自宅で使用できることも安全な水の条件のようです。自宅以外の井戸や給水所等で汲んでくる場合は安全な水にならないようです。そしてトイレについては安全で衛生的に処理できる設備が備えているものというところがポイントで、排泄物をその場にとどめることなく下水処理場等で処理できるトイレでなくてはならないようです。水洗トイレだけではなくて汲み取り式のトイレでもタンクがついていてバキューム車で吸引して処理場に運ぶことが可能なものは安全に管理できるものに入ると思います。

 

安全な水とトイレを使えないナミビアの現状!

安全な水とトイレにおける世界の現状については下記リンクを参照していただければと思います。ここでは任国ナミビアの現状について私の知っていることをお伝えしたいと思います。

 

SDGsの指標に基づく初の報告書発表 : 21億人が安全な飲み水を入手できず、安全なトイレは45億人が使用できず(Unicef Webより)

https://www.unicef.or.jp/news/2017/0146.html

 

先日ナミビアの新聞を読んでいたら次のような見出しが目に入りました。「Drowned boy not found yet」それはナミビア北部の村に住む13歳の少年が放水路に落ち溺れて流され、いまだに見つかっていないというショッキングなニュースでした。その記事によると、少年は学校帰りにその放水路の水を飲むために近づいてあやまって転落してしまったそうです。当然ながら放水路の水は汚れていて飲み水になり得るはずもありません。これは推測ですが、少年が用水路の水を飲もうとしたということは、それは日常的に行われていて、少年の家族とか友人とかが用水路の水を飲んでいるから始めたとしか思えません。もしかしたら彼の住む村全体がそのような習慣があるのかもしれません。私の任地ヘンティスベイにはそのような状況はないので、飲料水には程遠い用水路の水を飲まなくてはいけない状況がナミビアにあることにかなり衝撃を受けました。

 

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写真:informanteより引用

 

昨年末2017年12月にナミビアの首都ウイントフックでE型肝炎の発生が報告されました。E型肝炎は患者の便に含まれているE型肝炎ウイルスが、水や食物などを介して人の口から侵入して感染する病気だそうです。ウイルスの潜伏期間は2~9週間で、A型肝炎に類似した症状(倦怠感・食欲不振・発熱・吐き気や嘔吐・黄疸・腹痛等)があって慢性化することはなく4~6週間で回復することが多いそうです。一般的には軽症で済むようですが、重症化した場合はA型肝炎よりも致死率は高いとのことです。治療方法としては、特効薬はなく対処療法をしながらウイルスが自然消滅するのを待つ以外にないそうです。 発生したのはウイントフック郊外にあるkatutura地域のロケーションエリアで、以前から本ブログでも紹介していました任地ヘンティスベイにあるロケーションエリアと同様、空いている土地を不法に占拠して雑材等を使用して小屋を建てて人々が住んでいるエリアです。そのエリアのうち特に感染者が多かった区画は小屋が密集し、役場が整備した公共トイレの90%が壊れていて汚水が垂れ流しになり、そのため人々は屋外排泄を行うしかないような状況のエリアだったようです。またゴミは溢れかえり、この区画の衛生状態は悲惨なものだったようです。住民は飲料水をこんな悲惨な衛生状態にあるエリアの給水スポットから汲んで使用していたようですが、この給水スポットの水が垂れ流しであったトイレの汚水や屋外排泄の影響を受けて汚染されてE型肝炎感染が拡大したものと考えられています。

 

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写真:Namibianより引用

 

任地ヘンティスベイのロケーションエリアにおいても、子供たちが屋外排泄をしているのをよく見かけます。開発プロジェクトが終了してエリア全体に下水管(主要管)は設置されたものの、まだ道半ばで各戸にトイレは設置されてしないため(つまり各戸から主要管への接続がまだ終わっていない)、そのような状況になってしまっています。

 

ナミビアでは主要な町のほとんどで、その郊外にロケーションエリアが広がっており、衛生状態もKatuturaやヘンティスベイと同じような状況と推測されます。つまり安全な水とトイレを使えない人達がたくさんいるという現状がナミビアにはあるというわけです。

 

「安全な水とトイレを世界中に」

 

世界中の人達が水やトイレを心配することなく安全で健康に生活できる世界。やることはたくさんあって道は結構険しいですが、何とか2030年までに達成したいものですね。

 

まとめ

今回は17の持続可能な開発目標(SDGs)のうちの一つの目標である「安全な水とトイレを世界中に」に焦点を当てて、ナミビアの現状についてお伝えしました。ナミビアにもまだまだ安全な水とトイレにアクセスできない人達がたくさんいることを再認識した上で、残りわずかなナミビア滞在ではありますが、直接上下水道の整備に関わることのできる技術者として、少しでもその状況が改善されるようにできることをしてきたいと思います。

 

それでは今回はこのへんで。

 

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