つなブロ

青年海外協力隊として、ナミビアの大西洋に面した街ヘンティスベイで町づくりの手伝いをしています。協力隊活動に関すること、ナミビアでの生活に関すること、自分の住む街や訪れた街に関することなどいろんなテーマについてお伝えできればいいなと思ってます。

任地ヘンティスベイの下水道の現状と問題点!

こんにちは。

 

たまには活動の話を記事にしてみたいと思います。私は土木隊員として配属先はヘンティスベイ役場でボランティア活動に従事しているわけなんですが、主に町のインフラ整備の手伝いをしています。中でも上下水道システムの構築や維持管理などへの技術的助言、同僚の補助、その他貢献活動が主な活動になっています。上下水道に関しては私の専門分野ではない(経験したことがない)ので、インターネットで情報を収集したり、技術顧問に助言をもらったりしながら、私の技術者としての経験を踏まえながら、何とかやっているところです。

 

さて今回はタイトルの通り、そんなヘンティスベイの下水道システムの現状と問題点を整理してみたいと思います。

 

町の大部分は汲み取り式の下水システム!

皆さんは汲み取り式ってご存知でしょうか?今の日本ではほとんど見かけないかもしれませんね。私が子供の頃は今のように下水道システムが構築されていなかったので、たいていの家庭が汲み取り式でしたね。

 

汲み取り式というのは、各家庭に汚水をためるタンクがあって、タンクが満水になるとバキューム車で汚水を汲み取る方法のことです。

 

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ヘンティスベイでもほとんどの家庭はまだ汲み取り式の下水システムになっています。このシステムでは以下のような問題が挙げられます。

 

①タンクが満水になったら役場に連絡して汲み取ってもらう必要がある。タンクをチェックして都度連絡しなくてはならないので手間がかかる。

②バキューム車及び汲み取りの従業員が必要なため、コストがかかる。

③汚水をタンクに溜めておくため衛生上の問題(異臭など)がある。

④休日でも汲み取りの必要がある(タンクがいつ満水になるかは分からない)ため、従業員の労働環境悪化が懸念される。

 

汲み取り依頼の電話が毎日ひっきりなしになっています。現在役場ではバキューム車を3台所有していますが、汲み取りが追いつかず住民からの苦情も絶えないようです。

 

写真の彼女は電話を受けて、台帳に記録する担当です。毎日忙しそうです。

 

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今は予算上無理ですが、将来的には下水管を設置して下水処理場に送るシステムを構築(建設)する予定でいます。

 

 

最大の問題であるバキューム式下水システム

ヘンティスベイの一部区画にはバキューム式の下水システムが導入されています。バキューム式下水システムというのは簡単に言うと、ポンプ(圧力)で各家庭の汚水を吸引して一か所に集めるシステムのことです。ヘンティスベイはこのバキュームシステム(技術)をドイツから輸入し導入しています。

 

写真にある青色の大型のポンプ数台で全戸の汚水を一か所に吸引しています。

 

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町の至るところには写真のような小型のポンプが設置してあります。このポンプで数戸の汚水を一か所に集め、それを写真上の大型ポンプを使って全てを一か所に集めるシステムです。

 

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このバキューム式下水システムが今ものすごく問題になっています。その問題は以下の通りです。

 

①ポンプを24時間稼働させる必要があるために電気代がものすごくかかる。

②システムが故障した場合には、ドイツや南アフリカから部品を取り寄せる必要があるので時間がかかる。

③システムが故障した場合には、ドイツから技術者を呼ばなければならない。

④部品が届くまでの間、マニュアル操作で管理しなくてはならないので維持管理に手間がかかる。

⑤大容量のポンプを稼働させる必要があるため、騒音や振動が問題となる。

 

現在のヘンティスベイではこのバキューム式の下水システムの故障が頻発し、一部が機能しない状況になってきています。そのためマニュアル操作で対応しているものの、限られた従業員で実施しているためその処理が追いつかず汚水があふれる事態となっています。

 

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住民からの苦情もあとを絶たず、役場は問題の多いこのシステムを通常の重力式下水システム(汚水を重力で自然流下させるシステム)への入れ替える予定としています。

 

容量不足の下水処理場

写真は現在のヘンティスイベイの下水処理場です。

 

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ヘンティスベイはその開発とともに人口が増えてきており、ピーク時(クリスマス休暇時)には約11,000人になるとされています。しかしながら下水処理場は昔に建てられた1基のみとなっており、また堆砂等による処理容量減少も重なって、全体として容量不足なり、汚水処理が追いつかない状況になっています。

 

現在ヘンティスベイ役場では処理容量増加のための処理場の追加建設に向けて進んでいます。

 

まとめ

今回は任地ヘンティスベイの下水システムの現状と問題点について記事にしました。町の大部分を占める汲み取り式のシステム、コストや維持管理が問題となっているバキューム式の下水システム、人口増加に伴い容量不足になっている下水処理場についてご紹介しました。役場の予算が限られているため現在、優先順位をつけながら長期スパンでその改善に向けて計画を進めている状況です。ヘンティスベイ役場の抱えるこれら問題の解決に少しでも力になれたらと思います。

 

それでは、今回はこのへんで。

 

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