つなブロ

青年海外協力隊として、ナミビアの大西洋に面した街ヘンティスベイで町づくりの手伝いをしています。協力隊活動に関すること、ナミビアでの生活に関すること、自分の住む街や訪れた街に関することなどいろんなテーマについてお伝えできればいいなと思ってます。

任地ヘンティスベイの建設の現状について

今回も私の職種である土木に関するトピックをご紹介したいと思います。少々専門的になりますがご勘弁を。

 

任地ヘンティスベイでは役場が管理するいくつかの建設プロジェクトが進められています。新しい宅地エリアでの下水道管やマンホールの設置、消防署の建設、下水道収集のためのポンプステーションの建設などです。これらの施設、インフラストラクチャーは役場の発注を受けたいわゆるコントラクターと呼ばれる会社(日本で言えば建設会社)が建設を行っており、役場はそれらを管理する立場にあります。

 

今回はそんな施設の建設の現状についてレポートしたいと思います。 

 

ナミビアにおけるインフラ建設の流れ

例えばヘンティスベイに消防署を作ろうとする場合、役場はその設計を建設コンサルタントに依頼します。どうやら入札制度はないようで、うちの役場で言えばインフラストラクチャー部の現場管理責任者やプロジェクトマネージャーが業者を選定して仕事を頼んでいるようです。日本では信じられないですよね。裏に何かがあるのかもしれません(;^_^A

 

その設計図を受けてコントラクター(建設会社)に発注して建設が進められます。役場はその建設を管理する立場にあるのですが、そのような技術者はいないため実際は管理されておらず、コントラクターの管理に任されています。

 

ずさんな品質管理

現在ヘンティスベイで建設が進められているこれら3サイトに行ってみるとずさんな建設の実態が分かってきました。

 

例えば下水道のポンプステーションのコンクリート打設。ポンプステーションの一番下の底盤となるところですが、高所からトタンで作ったスロープを使ってコンクリートを流しています。高さ約5mと言ったところでしょうか。当たり前ですがコンクリートが材料分離しています。これを見たときには本当に驚きましたね。私が来ても慌てることもなく普通に施工をしていました。彼らいわくこの底盤は構造体の外部分で鉄筋を組むために打った段取りのコンクリートだとか言ってましたが。

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スロープを使っておろされたコンクリートを一輪車を使って打設箇所に運び、長い棒とコテを使ってコンクリートを指定の厚さに均すだけです。バイブレータは使用しません。

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その後の鉄筋組立は割としっかりしていましたが、被りは全く気にしていないようです。それから使用していた鉄筋は錆びていましたね。

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消防署の建設においても同じような感じでコンクリートの打設にはバイブレータを使用しておらず、鉄筋は錆びたもの(あるいは防錆処理をしていないので錆びてしまった)を使用していました。下の写真の場合は型枠すらしていませんでしたね。

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下水道のマンホールではクラックが発生していました。写真のマンホールは製品ではなくて現場でコンクリートを打設して作ったものですが、打設した後にドリルで穴を開けて下水道管を通していました。それでは当たり前のようにクラックが発生しますよね。打設の前に事前に管を通しておいてその後打設をすればそのような作業やこのクラックも防げると思うんですが。

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ずさんな安全管理

品質だけでなく安全についても考えられない施工が行われています。その典型的な事例がこの写真。ひ弱な型枠の上に安全帯なしで登っています。まるでサーカスの綱渡り。「危ないんじゃないの?」と彼らを管理していたコントラクターの技術者に聞くと、「大丈夫。彼らは慣れているから」の返事。簡易の足場を柱部分に設置してそれを昇降として使っている。本当に危険すぎる。

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高所作業のほとんどがこんな感じですね。私のカウンターパートに聞くと毎年多くの人が建設現場でなくなっているそう。こんな安全管理じゃ当たり前だよって思ってしまいます。

 

それから先に紹介したポンプステーションの建設。深く掘りこまれた土の壁は支保がなくそのままです。崩れてくるとかは全く考えていないようです。確かに見た目しっかりとした地盤なので大丈夫でしょうがそれにしても無処理では怖いですね。せめて緩い勾配で掘削してほしいものです。

 

まとめ

今回は私の任地ヘンティスベイで実施されている建設の現状についてご紹介しました。高所からのコンクリートの流し込みによる材料分離、コンクリート打設時にバイブレータを使用しないこと、錆びた鉄筋を使用していることなどずさんな品質管理の上で建設が進められていました。同時に建設現場では安全に対する意識の欠如も見られました。

 

日本と全く同じようにやるべきとは思っていないですが、最低限やるべきことはあると思うのでそのあたりを見極めてカウンターパートを含めて指導していきたいなと思います。

 

それでは、このへんで。

 

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